フィンランド:コロナ禍

フィンランドでのコロナの状況を報告

なぜフィンランドではコロナ感染者が少ないのか?

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コロナの被害状況(4月26日)

初めにことわっておくが、今回のタイトルは世のブログの大勢に倣い、羊頭狗肉なものにした。本文を読み進めれば、その意図がわかるはずである。

圧倒的な人口差がある国との比較に意味があるのか

さて、WHOのデータによると4月26日時点でフィンランドで確認された感染者は4475人、死亡186人。一方、日本ではそれぞれ1万3371人、366人である。こうしたことから「フィンランドでは感染者が少ない」といった報道がなされてきたわけだが(「現代ビジネス・講談社」など)、本当だろうか。

そもそも、感染者数の多寡を比べることにどれほどの意味があるのか。感染者に数えられるのは受診者だけだから、実態を表していないことは誰もが知っている。潜在的な感染者を含めれば、公表値を上回っていることはまちがいない。そんなあいまいな数値をもとにして客観的な分析ができるのだろうか。

いっぽう、死亡者数は絶対値だから各国の状況を比較する根拠になりうる。情報隠蔽を疑うとキリがないのだが、統計を信じてフィンランドと日本での死亡者数を比べてみよう。そうすると日本の総数はフィンランドの倍であることがわかる。これに基づき、「なぜフィンランドでは感染者(実際には死亡者)が少ないのか」と問うのなら、答えは簡単だ。人口が少ないからに他ならない。 

現在の日本の人口は約1億2600万人。かたやフィンランドは550万人。およそ23:1である。つまり、フィンランドでの186人の死者は、日本なら4000人以上に相当するわけだ。これでも「フィンランドでは感染者が少ない」と言い張るつもりか。

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両国とも新感染者数は減少傾向に見えるが、実態は不明

フィンランドでのコロナ対策が巷に浸透していることは認める。うがい、手洗いの励行、他人との距離を保つ、外出自粛、店舗・娯楽施設等の大幅な営業制限・・・・。こうした努力がウィルスの広がりを抑え、新規感染者数は減少傾向にある。国民が足並みをそろえて取り組んでいる事実は評価すべきである。

いっぽう、日本の対策はフィンランドに比べると非常に緩く感じる。人口の多さや、テレワークへの移行が難しい等の事情はやむを得ないが、いまだに歓楽街や娯楽施設に足を伸ばす人々が絶えないではないか。が、それにも関わらず、フィンランドに比較すれば日本の感染者は圧倒的に少ない。「なぜ日本では感染者が少ないのか?」を、本当にそうなのか? も含めて考えるべきではないのか。

 「教育水準世界一」、「幸福度ナンバー1」などといったキャッチフレーズと同様、「感染者が少ない」という報道も、とにかくフィンランドを持ち上げるのが第一目的としか思えない。フィンランドは(日本人が)批判してはいけない国なのである。そんな深層心理で創作したヨイショ記事に有意義な内容があるわけがない。
なお、人口1000万人のスウェーデンでの死者は2000人を超えた。相対数、絶対数ともにとんでもない数値だ。これもまた「独自路線」として評価する声が強い。

 

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