フィンランド:コロナ禍

フィンランドでのコロナの状況を報告

もはや日本に帰れない

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3月28日、ヘルシンキを中心とした首都圏を封鎖。境界を超える移動は制限され武装警官が警備にあたるという非常事態になったので当然だ。封鎖は4月19日まで続く予定。

こうした中、4月以降も維持するはずだったフィンエアーの日本直行便はすべて取りやめ。再開の目途はたっていない。

 

以下は机上プランだが、フィンランドから日本に行くすべはないのか、とチケット予約サイトを検索してみた。すると上掲スケジュールのような可能性が。4月6日というのは仮の出発日。
カタール航空を使い、ヘルシンキ⇒ロンドン・ヒースロー⇒仁川⇒成田という経路。40時間以上かかるうえ、往復運賃は40万円を超える。それでも行かねばならない人もいるだろうが、もう一つの問題がある。日本での入国に関することである。

 

日本人が日本に入国すること自体は可能だが、厳しい制限も加えられることになった。3月21日午前零時以降に到着した場合、その後の移動に公共交通機関を使うことが禁じるというのが一つ。バス・電車はもちろん、タクシーの利用も不可。。国内便への乗り継ぎもできない。知人に迎えに来てもらうか、レンタカーを手配して自力で移動するしかない。

 

さらには14日間の待機命令。待機先は「検疫所長が指定する場所」とされ、基本的には自宅。自宅のない私などはホテル住まいになるが、2週間の滞在費といったら・・・。さらには帰国便(日本⇒フィンランド)が運航される保証はないのだ。
そういうわけで、帰国は実質的に不可能になった。

旅行会社の責任はどうする?

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フィンエアー、日本直行便を停止

3月上旬のことだが、知人がフィンランド旅行についての打診をしてきた。当然ながら、やめるように勧告。そうしたら案の定だ。フィンランド「など」に滞在していた女性がコロナ発症。3月17日に二例があった。「フィンランド“など”」という表記ではなく、訪問国を明らかにしてほしいものだが、イタリアでの爆発的な拡散以降、ヨーロッパは危ないというのは常識になったと思っていた。
が、実情はまるで違う。

 

3月中旬、フィンエアーは運航の9割減を発表。が、同社のドル箱であるヘルシンキ⇔日本(5空港)の路線は維持。ヘルシンキ⇔羽田で予定していた増便はとりやめ、という方針を示した。4月以降もバンバン飛ばしますよ、ということだ。楽観に過ぎないか、と感じたことを覚えている。3月15日時点のヘルシンキ⇔成田の往復料金は7万円を切っていた。

そういうわけで、3月中旬くらいまでなら、いくらでも海外旅行が(少なくとも予約は)できたわけだ。学校も休みだし、ツアーがあるなら行っちゃおう、と考える人がいてもおかしくはない。浅はかではあるが、しょうがない。売ってるんだから。

 罹患の可能性は十分に推測できた

3月2日から13日にかけて欧州を旅行してコロナに罹患をした京都産業大学の学生たちに批判が集まったのは記憶に新しい。発症後の行動は非常識ではあるが、2日の出国時点で、彼らに危機感はなかっただろう。旅行を見合わせるように助言した人もいないはずだ。そりゃそうだ。大手旅行代理店が販売してるんだもの。

17日に帰国、発症した事例に関してはもう少し慎重になるべきだったのでは、との思いもあるが、旅行会社の責任のほうが大きい。3月2日には「ヨーロッパ=危険」というのは既定事項になっていたのに、堂々と販売していたのだから。その時点で旅行会社がツアーを中止していれば、彼らが罹患することはなかったのである。なお、当社では2月20日以降の予約はすべてキャンセル、当面の催行は不能である旨を通知した。しかし、弱小会社(当社)の訴えが世間に影響を与えることは全くなかった。 

某大手旅行会社の3月26日の公告

※出発日:2020年5月3日までの出発 : 催行中止
※出発日:2020年5月4日以降の出発 : 今後の状況を鑑み改めてご案内いたします。

 時すでに遅し。一月前に決断すべきだった。

 

商品がなくなった

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トイレットペーパー完売

3月中旬。コロナ禍の長期化が危ぶまれてくるとともに、商店から品物がなくなり始めた。まっさきに無くなったのは一部の食品(後述)だが、日本人の共感を得られやすく、かつインパクトのあるトイレットペーパーコーナーから紹介しよう。
写真を見れば一目瞭然。すべてのトイレットペーパーが完売。これ、おそらくは日本およびアジア諸国でのニュースが原因。

パルプ製品の生産大国であるフィンランドで、トイレットペーパーが品不足になることはまず考えられない。しかし、日本などでの買占め・品不足を伝えるTVを見て、「ああ、それは大変だ」と無用の警戒心を引き起こしたものと思われる。冷静に考えればわかるが、コロナが蔓延したからといってトイレットペーパーの消費量が増えるわけではない。手を洗ったあとは布タオルではなく、使い捨てのペーパータオルを使うことが推奨されたので、その消費量は確かに増えたが、品不足にはならない。生産能力は十分にあるのだ。

しかし風評の影響力は強く、あっという間に売り切れ。おふざけラジオ番組で流された「年内分のトイレットペーパーは備えたぞ」なんてコメントもその一因だったかもしれない。上掲写真は3月14日(土曜日)撮影。予想通り、16日(月)には棚いっぱいにトイレットペーパーが積まれていた。

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売り切れ商品にお国柄が表れる

3月20日、フィンランドで初めての死亡者が発生。首都圏封鎖が検討され、市民の危機感が高まり、日用品の買いだめが進んだ。前述のトイレットペーパー不足は一過性のものだと分かっていたが、食品となると話が違う。輸入物も多いし、切実度が高いからだ。
この4~5日で姿を消した主な食品は以下の通り(順不同)。地域・店舗によって差があるでしょう。

・スパゲティ、マカロニ、インスタントラーメン
・冷凍ピザ
・缶詰のトマトソース
・ひき肉
・ニンニク、ショーガ

調理が簡単で保存性の高いものということで乾麺や冷凍品が買い占められるのはよくわかる。が、トマトソースの需要がこれほど高いとは思わなかった。
ツナやミートパテの缶詰に影響はなし。ニンニクやショーガは「免疫力を高める」ということだろう。確かにその通りだが、即効性があるわけじゃないのに。ま、この辺は日本でも同じですね。TVで「〇〇ダイエット」なんて紹介されると即日完売、みたいな。
 

いっぽう、生鮮食料品は従来通りの品そろえ。この時期の野菜はもちろん、肉類も輸入品が多いので、むしろそっちから無くなっていくんじゃないかと危惧していた。この先はどうなるかわからないけど。

 

 

コロナ対策はじまる

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閉鎖1週間前のジムだが、誰もいない

3月に入ると、誰しもがコロナに無関心ではいられなくなった。なにしろ一週間ほどの期間で感染者は50人を超えたのである。人口比で単純換算すると、日本なら1000人以上に相当するから、その衝撃の強さも推測できよう。

フィンランド政府の対応は早かった。3月10日には国境閉鎖の可能性を示唆、16日より実施。不要不急の渡航の自粛を要請するとともに、フィンランド国籍もしくは滞在許可を持つもの以外の入国を制限。500人以上規模のイベントは中止、学校は4月13日まで休校とすることを決定。

 

民間も政府の要請に応えた。大手レストランチェーンは営業を控え、プールやフィットネスジムは閉鎖。スーパーマーケットのレジ付近には客同士が1.5m以上の間隔をとれるようにマーキングするなど、さまざまな対策が取られ始めた。

3月12日、国内の陽性患者は100人を超えた。

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騒動は静かに始まった

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2月3日、横浜ふ頭に停泊したダイヤモンドプリンセス

1月:アジアはなにやら大変なようで?

COVID19。中国武漢で確認されたのは2019年11月だが、その時点で事態を理解した人は世界的にもごく少数だっただろう。それが何やらヤバいことになっているようだ、と一般に認識され始めたのは、日本だと年が明けた2月上旬。クルーズ客船のダイヤモンドプリンセスが横浜ふ頭に停泊してからのことだろう。すでに香港で下船した中国人にコロナ感染が判明したためである。しかしそれでも、現在のような大惨事につながろうとは、ほとんどの人が思っていなかったはずだ。その原因は中国当局、WHOが情報を隠蔽し、日本政府の対策もおろそかであったことにあるが、責任問題はひとまず置いておこう。
本ブログの目的は、フィンランドにおけるコロナの状況を伝えることにあるからだ。

 2月:フィンランドにも火の粉舞う

乗客・乗務員を合わせて3700人が乗船し、約700人が感染したというニュースはフィンランドでも報じられた。が、フィンランドでは他人事。アジアではなにやら大変なことになっているようだ、といった受け止め方だった。
実際には、日本で騒ぎになる少し前(1月29日)に、フィンランドでも北部のラップランドでコロナ陽性者が確認されている。中国人観光客一名が即時病院に隔離、国内に広まる恐れはないと報道された。しかしこのニュースに着目した人は少数だったはず。かくいう私も日本での騒ぎに驚き、ではフィンランドはどうなのかと調べた結果、その事実を知った。

 3月:もはや安全な国はない

その状況が一変するのは2月中旬以降のこと。感染者が爆発的に発生したイタリア北部を訪れていたフィンランド人が続々と帰国してきたからだ。まずは南東部のラッペーンランタに陽性患者発生。入国検査をないがしろにしたという医師の批判も空しく、その後もイタリア・スペインからの帰国者が続き、結果、コロナウィルスが蔓延。2月26日、ヘルシンキで初、国内では二人目の陽性者が確認された。首都ヘルシンキで発症という事態はフィンランド人の耳目を集めた。
日本ではトイレットぺーバーが品薄に。そんなニュースを冷ややかに眺めていたフィンランド人も、もはや対岸の火事ではないことを思い知らされたのである。

フィンランド人の初感染から一週間あまり。3月に入ると感染者は50名に近づいた。政府は抜本的対策を検討し始め、近く緊急事態宣言を発令することが明らかにされた。

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